みぢかを機能で考える <第6回>
Original 2017/4/25
このブログを書いている時節は、桜前線も本州北部まで上り、北海道南部もそろそろ開花の声を耳にするころです。
最近は春や秋が短くなったと感じる方も多いのでは。 地球温暖化による日本の亜熱帯化だとか…。
古いデータで恐縮ですが、平成29年3月実施の内閣府消費動向調査では二人以上の世帯でエアコンの普及率は91.1%という数字がでています。
それでも夏になると、最近は酷暑ぶりから熱中症でダウンする方も多くなっています。
エアコンなしでは夏を乗り切れない状況になっているのは確かだと思いますが、しかし、それでも、夏が近づいてくると登場するのは扇風機ですね。
その手軽さと即効性が重宝され、今やハンディファンを持ち歩く人も良く見かけるようになりました。
現象を物理特性で表現して、機能を考えてみる
なぜ扇風機の風にあたると涼しいのでしょうか?
扇風機が涼しい風を送っているわけではないですよね。
送られた空気と、体表に温度差があると、空気の流れにより体表から熱が移動する(対流)、
あるいは体表に汗などの水分があれば、気化されることにより奪われる気化熱によって涼しく感じているってことでしょうか。
家電量販店でよく見かける通常の扇風機の機能は
電気エネルギーをモーターにより回転(運動)エネルギーに変換し、回転エネルギーを羽根にあたえ、羽根により周囲の空気を押し込み、空気に運動エネルギーを与える…。
D社の羽のない扇風機も周囲の空気を押し込んで空気に運動エネルギーを与えるという点では同じで、空気を押し込む手段がちがうだけなのでしょう。
機能的には単なる送風機というべきなのですが、「扇風機」と名がついたモノの目的は、体を風により冷やす、涼しく感じさせること。
そのために
- 体の方向へ風向を変えやすいコンパクトな形
- 送風の量を簡単に変えられるようなスイッチ
- 風を満遍なく送れる首振り動作
- 就寝時に体表を冷やし過ぎないOFFタイマー
などが与えられていますね。
単なる送風機がいろいろな機能と組み合わせることにより、「涼しくする」という目的により近くなる。
実際に人が涼しく感じるかどうかは人間の五感をどう刺激するか次第、その五感に寄り添う形で色々な機能が合わさっているといえるのかもしれません。
昔の扇風機には小さな吹き流しがついていて、風に吹かれるその様子で視覚から涼しさを感じさせていたという説もあるようです。
ならば体表の空気の流れや気化熱と、涼しく感じる「脳」との繋がり、ここを紐解けばより高い機能を実現できるのかもしれませんね。