みぢかを機能で考える <第32回>
Original 2023/8/20
今更ながらですが白物家電について考えてみたいと思います。
白物家電の本質機能は変わらない
このブログを始めて6年余り、白物家電は多様な進化を遂げていますが、本質的な機能は変わっていないのではないかと思うからです。
まず今回取り上げるのは洗濯機です。
洗濯機の機能とは何か、これまでと同じように物理特性で考えたいのですが、まずは洗濯機の中で発生している現象をそのまま表現してみたいと思います。
そうすると、
「洗濯の水を取り入れ、水流を与え、洗剤を溶かし、衣服から汚れを分離して水に移動させ、排出する」
というところでしょうか。
では、もう少し物理特性で表現をしてみることにしましょうか。
「洗濯機に水を取り入れ、その水に運動エネルギーを与え、洗剤を水に溶かし、水溶した洗剤の化学反応(でないかも?) により、衣服の汚れを水へ移動させ、衣服に戻らないようにしながら、水を排出する」
ここまで書いてみると…洗濯機って何をしているのかというと、衣服の汚れを落とすための手助けをしているだけで、汚れを落としているのは洗剤であったり、水であったり、ということが分かりますね。
洗濯機の中に汚れた衣服を入れて、ただ洗濯機を動かしても汚れは落ちないのですから当たり前といえば当たり前の話です。
電気の力で洗濯をする電気洗濯機が世の中に登場したのは20世紀初頭、アメリカだったようです。それ以前は手動でドラムを回すものがあったようです。 昭和生まれの私が真っ先に思い出すのは洗濯板とたらい。子供の時分に、自宅に洗濯機があっても、汚れがひどいものは、おふくろが洗濯板とたらいであらかたひどい汚れは落としたうえで、洗濯機に入れていたのを思い出します。
当時の洗濯機には脱水機もついておらず、衣服を2つのローラーで挟んで絞るような仕掛けもあったように思います。
洗濯機は衣服の汚れを落とすためというより、洗濯という労働を軽減するための機械ということが言えますね。 そして、その労働軽減を効果的に、そして効率よくやるということで、洗濯機は進化してきました。 人の手間をかけずにスタートから終了まで全自動で行うもの、モーターの消費電力を軽減したものが登場してきました。 洗い方も水をためるものやドラム式などいろいろ工夫がされてきたように思います。
しかし、電気洗濯機が世に出て120年余りになるのに水に電気で運動エネルギーを与えて洗濯という労働を軽減するという基本的な機能は変わらない。
クリーニング店という洗濯を代行する事業が日本で生まれたのは明治時代、コインランドリーが登場したのは1960年代のようですが、そこで使っている洗濯機の基本機能も同じ。(クリーニング店では使っている洗剤が違うということはありますが)
人間が衣服を身にまとい活動を行い、清潔を保ちたい、という気持ちがある限りかわらないのかもしれませんね。